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まつ毛美容液だけではまつ毛が伸びることはない
最近は、まつ毛をケアするためのアイテムが増えているため、ドラッグストアなどでもコーナーができていますね。
商品のパッケージを見ると、まつ毛に塗るだけで目元がフサフサになったり、濃くて太いまつ毛になったりするようなキャッチコピーが並んでいます。
とくに、まつ毛美容液は、誰もが知っている大手の化粧品メーカーもアイテムを販売していることから、毎日使ってまつ毛が伸びるようにケアしている方も多いことでしょう。
しかし、化粧品というのは、カラダに作用を及ぼしてはいけないと法律で決められていますので、まつ毛美容液を塗ってもまつ毛が伸びるということはないんです。
もちろん、毛が太くなることもありません。
商品のパッケージにあるうたい文句は、あくまでもイメージですから、まつ毛美容液だけでまつ毛が伸びるということはないんです。
まつ毛美容液にできることは、保湿力を与えてハリやコシを生み出し、艶やかな目元をつくること。
ただし、こうしたケアも美しい目元づくりに不可欠ですし、美容液の中にはマツエクをした時に避けなくてはならない、水分や油分をはじくものもありますから、用途に合わせて選べばマツイクに効果を発揮しますよ。
まつ毛が伸びる方法は2つしかない?
まつ毛は毛母細胞から作られていて、30~100日周期で新しい毛と古い毛が入れ替わっています(毛周期といいます)。
まつ毛美容液では薬効作用はありませんが、薬であるまつ毛育毛剤は、毛根を包んでいる「毛包」に作用して血流を増やし地まつ毛を長く、そして濃くすることができます。
後に詳しく説明しますが、グラッシュビスタという薬は、「まつ毛貧毛症治療薬」として厚生労働省でも認可されていますし、同じ成分が配合されているルミガンも、医療機関で診察を受けた後に処方してもらえる薬です。
まつ毛を伸ばす方法として、もう1つ挙げられるのが、規則正しい生活を送ることです。
当たり前のことではありますが、まつ毛が伸びるには食事から摂取した栄養素が必要ですし、その栄養素が吸収された後、きちんと毛母細胞に届けられなくてはなりません。
ですから、栄養バランスが整った食事を食べることと、栄養が送られるように血流をよくすること、そして、まつ毛の成長力が高まる夜の睡眠の質を上げることが、非常に重要になってくるんです。
まつ毛が伸びる方法をネットで検索すると、実にさまざまな方法が紹介されていて、中には危険なケアも紹介されています。
しかし、まつ毛をつくり出す毛母細胞や毛包にアプローチして、毛を伸ばすには、
・まつ毛を伸ばす薬を塗布する
・まつ毛の生育に必要な栄養が十分毛母細胞に行き届く
この2つしかありませんので、まずは、この点をしっかり覚えておきましょう。
マツエクは人工毛でまつ毛を伸ばすアイメイク
マツエクも「まつ毛が伸びる方法」として紹介されることがありますが、こちらは人工毛(エクステ)をまつ毛に装着する施術で、地まつ毛そのものが伸びるというワケではありません。
また、エクステの装着には、空気に触れると有害物質を発生させる接着剤(グルー)が使われますし、エクステの重さが目元にダメージを与えますので、100%安全なアイメイクではないんです。
技術力が低いマツエクサロンでマツエクすると、グルーの使用やエクステの装着本数が不適切だったり、衛生管理が手抜きだったりすると、目やお肌にトラブルが発生しやすくなります。
こうした点を踏まえて、お客さんの健康を第一に考え、丁寧な施術を行なっているサロンを選べば、目元へのダメージを最低限にして、美しいアイメイクを楽しめます。
さらに、自宅でのマツエクケアを徹底し、規則正しい生活を送っていれば、トラブルの発生リスクはかなり低くすることができるんですよ。
まつ毛が伸びる薬の特徴は?
まつ毛が伸びる仕組みが分かったところで、最近、注目が集まっている薬について詳しくお話ししましょう。
現在、まつ毛が伸びる薬として処方されているのは、グラッシュビスタ、ラティース、ルミガンの3つです。
実はこの二つ、成分はビマトプロストという同じお薬なのです。
グラッシュビスタやラティースは、まつ毛が抜ける、量が減るといった症状を改善するために開発された薬で、クリニックなどで診察を受けて使用上の注意などのレクチャーを受けたうえで、使ってゆくことになります。
個人差はありますが、だいたい1カ月ぐらい使っていると、まつ毛が少しずつ太くなってきて、さらに2~3カ月ほど使い続けていると、かなりフサフサになることを実感できます。
一方のルミガンは、本来緑内障の治療に使われている薬です(それでも美容外科・美容皮膚科のクリニックではこちらもまつ毛貧毛症の薬として処方はされています)。
グラッシュビスタと同じ成分が使われているので、まつ毛にあらわれる効果は基本的に同じで、ジェネリック(後発薬)としてケアプロストやガンフォートなど、海外製の薬もあります。
しかし、いずれの薬にも副作用が発生するリスクがあることを忘れてはいけません。
黒目が濃くなる、まぶたが黒ずむ(色素沈着)、目が充血するなどの症状が報告されているほか、動物実験の結果では、流産の危険も指摘されています。
ですから、医療機関の診察では、アレルギーの有無や妊娠しているか否か、といったことを詳しくヒアリングしたうえで、薬の処方を決めているんです。
インターネットで薬の情報を検索してみると、グラッシュビスタやルミガンを個人輸入という手段で販売しているサイトが見つかります。
販売価格が非常に安く、わざわざ病院まで行って診察を受けなくていいことから、利用者もかなり増えているようですが、医師の診察なしで薬を使用するのは危険です。
万一、目にトラブルが発生しても、販売元は何の補償もしてくれませんし、病院に行っても治療が遅れたことで、手の施しようがない状態になってしまったケースも報告されています。
薬には、必ず副作用が伴いますし、使用中に異変が発生したら、すぐに医師の診察が必要になりますから、グラッシュビスタやルミガンはネット通販で買わず、絶対に病院で処方してもらってくださいね。
薬を使うことで発生する3つのデメリット
グラッシュビスタやルミガンを使うと、7~8割ぐらいの方に、まつ毛フサフサの効果が出ます。
しかし、副作用以外にも、下記に挙げる3つのデメリットがあることも覚えておきましょう。
薬のデメリット①:薬代が高い
いずれの薬も、2か月分で1万円ぐらいかかりますし、診察料も毎回発生します。
そして、一番の問題は、健康保険が適用されませんので、自由診療として扱われることです。
毎月、病院に診察を受けるのも大変ですし、出費もかさむとなると、ちょっと考えてしまいますよね。
薬のデメリット②:使用を止めると効果も止まる
まつ毛が伸びる薬は、自分が満足するボリュームになったら塗布をやめる、というワケにはいきません。
グラッシュビスタもルミガンも、使用をストップするとまつ毛を伸びた状態でとどまるのではなく、元の短い状態に戻ってしまうんです。
理想的な目元をキープするには、ずっと薬を使い続けなくてはならないので、これもかなり負担になるかもしれませんね。
薬のデメリット③:マツエク&地まつげのケアが煩雑になる
マツエクをした状態でグラッシュビスタやルミガンも一緒に使うと、目元のケアは非常に煩雑になります。
マツエクだけでしたら、目元はアイシャンプーで洗ったうえで、まつげ美容液やコーティング剤をエクステに塗るというケアになりますが、これに薬の塗布が加わると、手軽なアイメイクであるはずのマツエクのケアに、毎日かなり時間がかかってしまうのです。
また、マツエクサロンでは、薬の効果で地まつげが伸びることは想定せずに施術していますから、地まつ毛の毛周期がずれてしまったら、エクステのデザインが崩れてしまうことも考えられますね。
もし、薬とマツエクを併用する方は、カウンセリングの時に、必ずこの点をアイリストさんに相談するようにしましょう。
ネットで話題のまつ毛が伸びる方法は?
SNSや動画サイトには、ニベアクリームやオロナインをまつ毛に塗って、まつ毛が伸びることをアピールしているコンテンツがたくさんありますよね?
中には、使用前・使用後の写真をアップしている人もいるので、効果があるんだと勘違いしてしまいそうです。
しかし、いずれのアイテムもまつ毛を伸ばす成分は含まれていませんし、目に入ることで重大な健康トラブルが発生する可能性があります。
他にも、まつ毛を切る、リップクリームを塗るといった方法も紹介されていますが、いずれも“都市伝説”的なネタで、目元にダメージを与えることはあっても、まつ毛が伸びるということはないです。
ネットにアップされている効果を示す写真は、ニベアやオロナインを塗ったことで、まつ毛の表面にツヤが出ているか、運よく副作用が発生せず、まつ毛の成長を促す生活を続けた結果でしょう。
まつ毛が伸びる生活習慣3つのポイント
では、まつ毛が伸びる規則正しい生活習慣のポイントを、3つ紹介します。
いずれも、まつ毛だけでなく、お肌全体の美容にも関わることですし、健康生活の基本でもありますから、今日から“マツイクの基本”として実践してくださいね。
食事は朝からしっかり食べて、夜は控えめに
女性は朝食抜きの生活を送る傾向にありますが、カラダにエネルギー源がないと体温が上がらず、冷え症を招きやすくなります。
こうなると、血液の流れが悪くなって、まつ毛に必要な栄養素が行き届かなくなりますので、朝からしっかり食事をするようにしてください。
そして、夕食は睡眠の3時間以上前に摂ることもお忘れなく!
睡眠時に食べ物が胃の中に残っていると、眠りについてからも消化活動が続いて、深い睡眠が得られなくなります。
夜は副交感神経が優位になる生活を
わたしたちの生命活動をコントロールしている自律神経は、昼間の活動を後押しする交感神経と、休息を促すために夜に優位になる副交感神経の2つあります。
副交感神経が夜に働かないと、血液の流れが悪化してまつ毛が栄養不足になりますし、寝つきも悪くなりますので、まつ毛の成長も妨げられるんですね。
寝る前にお酒を飲む、夜に激しい運動をする、布団に入ってからスマートフォンの操作をするといった習慣は、すべて交感神経を活性化し、副交感神経のはたらきを鈍くするのでNGです。
美しい目元をゲットするためにも、夜は心身を休めて、快眠に備えてリラックスできる時間を過ごしましょう。
睡眠は眠ってから3時間の熟睡が重要!
最後に、睡眠のお話しです。
まつ毛の生成に限らず、お肌の新陳代謝やダメージ回復は、眠ってから3時間の間に活発に行なわれますから、この時間帯は熟睡する必要があるんですね。
しかし、交感神経が優位になっていると、眠りが浅くなって細胞の活動が鈍くなってしまいますから、下記の点に注意して熟睡できる環境を作ってみてください。
・通気性の高い布団や枕を使う
・夏はエアコンを28度に設定し、付けっぱなしで寝る
・寝室の光はなるべく真っ暗にし、フットライトを使う
・生活音が気になる場合は、耳に圧迫感を与えない耳栓をして寝る
今回のまとめ
いかがでしたか?
まつ毛って、意外と基本的な行動で伸びますし、間違ったケアですぐに健康状態が低下してしまうんです。
まつ毛が伸びる薬を使うにしても、マツエクするにしても、それだけで目元の美しさを保つことはできません。
今回説明した生活習慣を取り入れることを基本にして、自分の目的や予算、手間ひまを考慮して、最適な方法でまつ毛を伸ばしてみましょう。
この記事を監修したドクター

弓削田 浩主 医師
東京形成美容外科院長/美容外科専門医
経歴
千葉県出身。大手美容外科本院外科部長、大手スキンクリニック本院院長を経て、2016年に東京形成美容外科院長へ就任。12年以上の経験から、症例数110.000例以上を誇る。「手術数でわかるいい病院2017」「データで探す病院の選び方2017〜2018」や各ファッション誌、テレビ等、多くのメディアで取り上げられている。